事務用品通販大手のアスクル株式会社は11月28日、ランサムウェア攻撃によるシステム障害からの復旧状況に関する第11報を発表し、停止している事業所向け通販サイト「ASKUL」のWeb注文受付を、2025年12月第1週中に再開する予定であることを明らかにしました。

11月28日(金) アスクル
サービスの復旧状況について (ランサムウェア攻撃によるシステム障害関連・第11報)
同社によりますと、主力の「ASKUL」Webサイトでの注文受付は12月の第1週より再開される見通しですが、倉庫管理システム(WMS)を使用した在庫商品の本格的な出荷再開については、12月中旬以降になる予定だということです。
このため、サービス再開後もシステムの安定稼働が確認されるまでは、商品の配送日数が通常よりも長くなる可能性があるとしています。

現在、同社は大企業向けサービス「ソロエルアリーナ」でのWeb注文や、医療機関などを対象としたFAX注文(手運用)を先行して再開しており、対象商品や出荷拠点を段階的に拡大しています。

同社は10月19日の障害発生以降、段階的な復旧作業を進めるとともに、情報流出に関する調査も継続して行っています。
※タイトルと要約、イメージは、AI(Gemini)が生成したものをベースにしています。
アスクルの倉庫管理システム(WMS)は、特定のパッケージ製品をそのまま利用しているわけではなく、自社の物流ノウハウに基づき、複数のITベンダーと共同で構築・改修を重ねてきた独自のシステムであると考えられます。
WMSの概要と開発体制
過去の導入実績: 2002年頃の物流拠点構築の際、中核システムとして日立製作所のWMSパッケージ「HITLUSTER(ヒットラスター)」を導入した経緯があります。
共同開発: アスクルの沿革によれば、物流システムは日立製作所およびトーヨーカネツ株式会社と共同で開発し、賞を受賞したと記載されています。
内製(自社開発): 物流子会社のASKUL LOGISTは「弊社独自の在庫管理システム」を運用している旨を言及しています。また、ラストワンマイルを担う配送管理システム「とらっくる」は、アスクル社内のエンジニアが開発・運用する**自社製(内製)**システムです。
これらの情報から、アスクルのWMSは、日立製作所などのベンダーの技術をベースにしつつ、長年の運用を経てアスクル独自の要求仕様に合わせて大幅なカスタマイズや内製開発が加えられた、独自のハイブリッドなシステムと推測されます。
これまでのリリース:
11月19日(水)
サービスの復旧状況について (ランサムウェア攻撃によるシステム障害関連・第10報)「ASKUL」Webサイトの再開を「12月上旬」とする目標を発表しました。
11月14日(金)
3PL事業に関する情報流出の可能性について (ランサムウェア攻撃によるシステム障害関連・第9報)子会社ASKUL LOGIST(3PL事業)における顧客情報の流出が確認されたと発表しました。
11月12日(水)
サービスの復旧状況について (ランサムウェア攻撃によるシステム障害関連・第8報)復旧の進捗を発表。手動での出荷体制を拡大するとともに、大企業向けサービス「ソロエルアリーナ」でWeb注文を一部再開しました。
11月11日(火)
情報流出に関するお知らせとお詫び (ランサムウェア攻撃によるシステム障害関連・第7報)第5報で確認された情報流出について、流出件数の拡大が確認されたと発表しました。
11月6日(木)
サービスの復旧状況について (ランサムウェア攻撃によるシステム障害関連・第6報)
10月31日(金)
ランサムウェア攻撃による情報流出に関するお詫びとお知らせ調査の過程で、アスクル本体の顧客(ASKUL、LOHACO)の問い合わせに関する情報など、一部データの外部流出が確認されました。
10月31日(金)
一部報道について (ランサムウェア攻撃によるシステム障害関連・第4報)
10月29日(水)
一部商品の出荷トライアル運用の開始について(ランサムウェア感染によるシステム障害関連・第3報) サービスの早期復旧に向け、事業所向けサービス「ASKUL」を最優先とし、FAX注文による「トライアル出荷」を開始しました。
10月22日(水)
10月19日(日)
ランサムウェア感染によるシステム障害発生のお知らせとお詫び(第1報) ランサムウェア攻撃によるシステム障害の発生を公表し謝罪。物流システム(WMS)などが停止しました。
