近年、ビジネスの現場において「法的なハラスメント認定」の有無だけでなく、「インシビリティ(Incivility:礼節の欠如)」と呼ばれる無礼な振る舞いが組織の生産性を下げる要因として注目を集めています。
株式会社エデュテイメントプラネットが、ビジネスパーソン約9,000人を対象に実施した最新の調査結果からは、多くの職場で看過されている「些細な無礼」が、実は深刻な悪影響を及ぼしている実態が浮き彫りになりました。
1月19日(月) エデュテイメントプラネット(GRONIA plus)
「舌打ち」「鼻で笑う」が約8割で最多。組織の生産性を下げるハラスメントの芽『インシビリティ』に関する、ビジネスパーソン約9,000人調査の結果を公開サンプル数:9,034
■「舌打ち」「鼻で笑う」が最大の攻撃──数値化された不快感
まず注目すべきは、職場におけるどのような言動が「インシビリティ(無礼)」と見なされているかという点です。調査によると、最も多くの人が不快だと感じた言動の第1位は「舌打ちや鼻で笑うなど、見下した態度をとる」、次いで「無視したり、仕事仲間から外したりする」「言い分を聞かない」という結果となりました。
これらは実に回答者の7割から8割が「インシビリティである」と認定しており、単なる個人の「機嫌」や「性格」の問題として片付けるにはあまりに影響力が大きいことがわかります。特に「見下した態度」や「無視」といった行為は、暴言や暴力といった明白なパワハラ行為には至らないケースも多く、それゆえに是正されずに放置されやすい傾向にあります。しかし、大多数の従業員がこれらを明確に「攻撃的な行為」と認識している事実は、重く受け止めるべきデータと言えるでしょう。
■「受け手の過敏さ」ではない──誰にとっても不快な事実
今回の分析で極めて示唆に富んでいるのが、回答者の属性による認識の差異がほとんど見られなかった点です。
一般的にハラスメントの問題では「受け手の感受性が豊かすぎる(過敏である)」ことが摩擦の原因とされるケースも散見されます。しかし本調査では、過去にハラスメントを受けた経験の有無にかかわらず、前述した「見下した態度」や「無視」といった言動については、等しく「インシビリティ」であると判定されました。
つまり、これらの態度は「相性」や「受け取り方の問題」ではなく、客観的に組織の心理的安全性を損なう「有害な振る舞い」であると結論付けられます。「悪気はなかった」「指導の一環のつもりだった」という加害側の主観的抗弁は、もはや組織マネジメントの観点からは通用しないフェーズに来ていると言えます。
■「不機嫌ハラスメント(フキハラ)」が生産性を阻害する
自由記述の回答からは、いわゆる「フキハラ(不機嫌ハラスメント)」の実態も明らかになっています。「挨拶を無視する」「ため息をつく」「感情的に対応が変わる」といった言動は、直接的な加害意図がなくとも周囲に緊張を強いることになり、気持ちを萎縮させます。
調査の分析でも指摘されている通り、こうした言動は本人が無意識に行っているケースが多く、それゆえに改善が難しいのが特徴です。しかし、繁忙期などの余裕がない状況下でこうしたインシビリティが蔓延すれば、ミスや報告の遅れを誘発し、最終的にはコンプライアンス違反や離職者の増加といった経営リスクへと直結します。
■「ハラスメントか否か」を超えた組織づくりへ
企業のリスクマネジメントはこれまで、「法的にハラスメントに該当するかどうか」という線引きに終始しがちでした。しかし、今回の調査結果が示唆しているのは、その境界線の手前にある「無礼さ」こそが、組織の健全性を損なう火種になっているという現実です。
「パワハラと言われるからやめる」のではなく、「互いを尊重し合うために礼節(シビリティ)を保つ」。これからの組織開発においては、マイナスをゼロにする防止策だけでなく、プラスの価値観を醸成するアプローチが求められています。上司・部下といった上下関係に関わらず、組織全体で「無礼な振る舞いを許容しない」という規範(ノルム)を再構築することが、生産性向上への遠回りのようで確実な道筋となるはずです。
※タイトルと要約、イメージは、AI(Gemini)が生成したものをベースにしています。

