事務用品通販大手のアスクル株式会社は12月3日、ランサムウェア攻撃によるシステム障害からの復旧状況に関する第12報を発表し、同日午前9時より、停止していた事業所向け通販サイト「ASKUL」でのWeb注文受付を再開しました。
12月3日(水) アスクル
サービスの復旧状況について(ランサムウェア攻撃によるシステム障害関連・第12報)
同社によりますと、今回の再開により、すべてのお客様がWebサイトから注文を行えるようになったほか、新規の利用登録も可能となりました。
注文可能な商品は大幅に拡大されており、メーカーやサプライヤーから直接配送される「直送品」については、従来のほぼ全てにあたる約1,450万アイテムが対象となります。
一方で、同社の物流センターから出荷される「在庫商品」については、現在も倉庫管理システム(WMS)を使用しない手動での出荷体制(トライアル運用)が続いています。そのため、対象はコピー用紙や飲料などの「箱単位」の商品や、緊急性の高い医療用品など一部に限定されており、配送日数も通常より長くかかる見込みです。
同社は、WMSを使用した本格的な在庫商品の出荷再開については、12月中旬以降を予定しているとしています。
なお、個人向け通販サイト「LOHACO(ロハコ)」については、事業所向けサービスの本格復旧後に再開する方針で、具体的な日程は未定です。
※タイトルと要約、イメージは、AI(Gemini)が生成したものをベースにしています。
アスクルの倉庫管理システム(WMS)は、特定のパッケージ製品をそのまま利用しているわけではなく、自社の物流ノウハウに基づき、複数のITベンダーと共同で構築・改修を重ねてきた独自のシステムであると考えられます。
WMSの概要と開発体制
過去の導入実績: 2002年頃の物流拠点構築の際、中核システムとして日立製作所のWMSパッケージ「HITLUSTER(ヒットラスター)」を導入した経緯があります。
共同開発: アスクルの沿革によれば、物流システムは日立製作所およびトーヨーカネツ株式会社と共同で開発し、賞を受賞したと記載されています。
内製(自社開発): 物流子会社のASKUL LOGISTは「弊社独自の在庫管理システム」を運用している旨を言及しています。また、ラストワンマイルを担う配送管理システム「とらっくる」は、アスクル社内のエンジニアが開発・運用する**自社製(内製)**システムです。
これらの情報から、アスクルのWMSは、日立製作所などのベンダーの技術をベースにしつつ、長年の運用を経てアスクル独自の要求仕様に合わせて大幅なカスタマイズや内製開発が加えられた、独自のハイブリッドなシステムと推測されます。
これまでのリリース:
11月28日(金)
サービスの復旧状況について (ランサムウェア攻撃によるシステム障害関連・第11報)
11月19日(水)
サービスの復旧状況について (ランサムウェア攻撃によるシステム障害関連・第10報)
「ASKUL」Webサイトの再開を「12月上旬」とする目標を発表しました。
11月14日(金) 3PL事業に関する情報流出の可能性について (ランサムウェア攻撃によるシステム障害関連・第9報)子会社ASKUL LOGIST(3PL事業)における顧客情報の流出が確認されたと発表しました。
11月12日(水) サービスの復旧状況について (ランサムウェア攻撃によるシステム障害関連・第8報)復旧の進捗を発表。手動での出荷体制を拡大するとともに、大企業向けサービス「ソロエルアリーナ」でWeb注文を一部再開しました。
11月11日(火) 情報流出に関するお知らせとお詫び (ランサムウェア攻撃によるシステム障害関連・第7報)第5報で確認された情報流出について、流出件数の拡大が確認されたと発表しました。
11月6日(木) サービスの復旧状況について (ランサムウェア攻撃によるシステム障害関連・第6報)
10月31日(金) ランサムウェア攻撃による情報流出に関するお詫びとお知らせ
調査の過程で、アスクル本体の顧客(ASKUL、LOHACO)の問い合わせに関する情報など、一部データの外部流出が確認されました。
10月31日(金) 一部報道について (ランサムウェア攻撃によるシステム障害関連・第4報)
10月29日(水) 一部商品の出荷トライアル運用の開始について(ランサムウェア感染によるシステム障害関連・第3報)
サービスの早期復旧に向け、事業所向けサービス「ASKUL」を最優先とし、FAX注文による「トライアル出荷」を開始しました。
10月22日(水) ランサムウェア感染によるシステム障害について(第2報)
10月19日(日) ランサムウェア感染によるシステム障害発生のお知らせとお詫び(第1報)
